いまや伝説と化したのかどうかは知りませんが、1997年第1回フジロックフェスに行ってきました。
すでに25年も前のことなので、記憶から抜けているところだらけですがそのときの思い出をつらつらと書いてみます。
当時働いていた会社の先輩を半ば強引に誘い車を出してもらい京都から山梨まで。
全部運転させるし、高速代も出した覚えない。ふざけた後輩。
前日は近くのホテルに泊まり、会場から少し離れた駐車場に車を停めて、そこから送迎バスに乗って会場へ。
そこですでに先輩と別れて1人ずつで別行動。行く前からとりあえず全てメインステージのアーティストを見ようと決めていたのでメインステージに直行しました。
やっと始まるという期待と「こっちほんとにメインステージか?」という不安の中とうとう『Southern Culture On The Skids』が出てきて始まりました。(ただこのバンドを知らなかったためまだ不安は消えず)
『SUMMERCANP』ここでメインステージであることがようやく確信に。
『THIRD EYE BLIND』このバンドはほぼ記憶から消えているので割愛。
『THE HIGH-LOWS』 ヒロトチンポだしてたよーな。
『FOO FIGHTERS』 まだこの時はニルヴァーナのドラムが始めたバンドくらいの認識しかありませんでした。でもニルヴァーナ大好きだったので興奮しまくりました。ギターうまい。カートより。
『RAGE AGAINST THE MACHINE』 ここで事件が起こります。演奏でもみくちゃになって暴れていて曲が終わりフッと一息。ふと前を見ると、同じく暴れていた青年A君のリュックが全開。「え!?中身まるまるカラッポやん!」と思っていたら、僕の隣の人が親切にもA君の肩をポンポンとたたき、「リュック開いてますよ。」と一言。A君の顔から見る見るうちに血の気が引いて蒼白に。とその瞬間、無情にもレイジが次の曲を演奏開始。またみんなが暴れだし、蒼い顔のA君はこちらを向いたまま飛び跳ねる人の波に飲まれて目の前から姿を消していきました。
大事なもん色々入ってただろうになぁ。地面は田んぼ状態。奇跡的に中身が見つかったとしても、ですよ。多分無理だし。かわいそ過ぎます。ちゃんと家まで帰れたんでしょうか。
『THE YELLOW MONKEY』 レイジとレッチリに挟まれたところだけあって始まる前に客の大移動がありました。セットリストが悪かったのか、ずいぶん寒かった覚えがあります。(体感の気温が)
『RED HOT CHILI PEPPERS』 僕は一緒に大声で歌うというより叫んでいました。ギターがフルシアンテじゃなくデイヴ・ナヴァロの、今となっては貴重な微妙な時期に見れました。
骨折してるらしいアンソニーが手を首から吊り下げて固定していて、台風ですさまじい雨風の中、3~40分の短いセットリストでしたが、非常に楽しみました。最後に「アンコールされても出来ないモンねー」とでも言わんばかりに機材を破壊して終了。
さて全てのプログラムが終わり、バスの乗り場まで移動。この時点ですでに雨に打たれ続けてビチョビチョでクタクタ。膝から下はドロドロやし。しかもフェスの予備知識なんか全く無く、というか日本初の本格野外フェス。普通にTシャツ一枚で行ってましたとも。で、バスに乗る広場に到着。この時点で午後11時位だったと思います。自然発生的に出来た何本もある何の列か分からん列に思考停止状態でとりあえず並び、雨風に晒され続けてアゴをガタガタ鳴らし続けてひたすら列が進むのを一人で待っていました。バスに乗れるかどうかもわからんのにな。
チラッと「ここで倒れても誰も助けてくれんだろうな」とか考えたり、他の客がスタッフを殴ったりケンカしたりしているのを横目で見ながら、どれくらい待ったのかぜんぜん分かりませんでしたが、偶然にもその列でバスに乗り込むことが出来ました。ただこの時はまだ乗り込んだバスがどこ行きのバスか知りませんでした。というかどこ行きとかどうでも良かった。バスに乗り込んだ後もアゴがずっとガチガチいってる。
「どこ行きのバスですか?」と聞いても運転手は答えてくれない、みたいな状態だったそうです。なにそのホラー。
そして到着した場所が、なんと奇跡的に朝に車を停めた駐車場の近くでした!という偶然に驚く余裕も無く、体を引きずるように車を駐車したはずの方へトボトボと歩いていると、前方から駐車場を出ようと走ってくる車が一台ありました。よく見るとそれがなんと先輩の車。駐車場の出入口へ曲がろうとするところギリギリで出会うことが出来ました。後から聞いたところによると、先輩は台風に嫌気がさし結構早い段階で見切りをつけ車に帰ってきたらしい。で、何時間待っても帰ってこないのでそろそろ探しに行ってみるか、と駐車場を出ようとしてるところだったらしいです。時計を見ると午前2時をまわってました。
あと何秒か遅ければ、駐車場に着いても車が無い、という考えるだけでも恐ろしい事態になっていたのです。気絶くらいはしてたかも。いやたぶん死んでた。
コンビニでTシャツとパンツを買ってきてもらいそれに着替え、ホテルに帰って先輩と「明日はもう観るのをあきらめよう」ということになり1泊して帰途へ。
帰り道に聞いていたラジオで、2日目の中止を知りました。
人生で一番死にかけた出来事は?と聞かれると真っ先にこの日のことを思い出す。